公開日:2017/06/26
日本の温泉とこんなに違う!ヨーロッパの温泉、スパ事情
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温泉大国の日本ですが、三大温泉といえば草津温泉、下呂温泉、有馬温泉。その他にも、登別温泉や、熱海、別府、道後温泉など日本は北から南まで様々な泉質の温泉が湧いており、ストレス解消や健康維持のために休日などを利用して巡る人も多いのではないでしょうか。
ヨーロッパの温泉事情とは
ヨーロッパにも温泉はあるの?
温泉といえば日本のイメージがある人も多いですが、実はヨーロッパ各地にも温泉が湧いており、それに伴うホテルや保養施設も多数あります。
例えば、ドイツのバーデン・バーデン、スイスのロイカーバート、また日本人にもミネラルウォーターでおなじみのフランスのエヴィアンなど数多くの温泉が存在しています。
ヨーロッパの温泉の位置づけとは?
日本では温泉それぞれに効能が決められていて、個人の保養目的で利用されることが多いと思いますが、ヨーロッパでは温泉療法が進んでおり、健康保険制度を利用した保養を温泉地で行うことができる国が多くあります。
ハンガリー、スイス、フランスなどでは医師の処方箋があれば、長期滞在が許可されたり還付を受けたりすることが可能です。日本の方が温泉の数も多く、水質にバリエーションがあり、温泉療法に力を入れているように感じますが、実はヨーロッパは、本格的なヘルスケアとしての温泉療法が盛んな地域なのです。
ヨーロッパの温泉療法とは?
例えば、フランスではリウマチや呼吸器疾患などを中心に療養が行われており、医師による処方箋があれば3週間滞在しながらそれらに掛かった費用が還付されます。スイスでは、病院が併設もしくは近い場所にあり、相談しながら療養ができる環境も整っています。
日本の温泉と違い温度は低めで、男女混合で水着を着用して温泉に入ることが主流です。大きなプール状になっている温泉も多いため、水圧を利用した運動療法を行える施設が多くあります。
フランス南東部にある温泉地 エクスレバン
湖や山に囲まれた小さな温泉地
かつては、冬季オリンピックも開催されたグルノーブルにも近い、エクスレバン。その歴史は非常に古く、ローマ時代にまで遡ります。街には、当時あった温泉の博物館や史跡などもあり、古くから多くの人に親しまれてきた温泉地のひとつです。
今回は、このエクスレバンを訪れてみました。スイスとフランスとの国境沿いにある国際都市ジュネーヴ(スイス)から電車で約1時間、エクスレバン駅から温泉までは徒歩で20分ほど。小高い丘の上に位置しているエクスレバンの温泉は、想像していたよりも小規模でこぢんまりとしており、静かな雰囲気です。この温泉では、水着に加えて水泳帽の着用が義務付けられています。
水着に着替えて、いざ温泉へ
入り口では、処方箋を持っている人、持っていない人向けの入り口が用意されています。一般の入湯料はフリータイム21ユーロ(約2500円)ほどで、更衣室近くでチケットを見せるとタオルやバスローブ、ハンガーなどのセットが渡されます。
日本では、男女別の更衣室やロッカーが用意されているところがほとんどですが、ヨーロッパでは分かれていないこともあります。このエクスレバンでは、更衣室から入り、別のドアを開けるとロッカールームとなっている構造になっており、更衣室とロッカーは男女共用です。
温泉施設の内部
エクスレバンの温泉では、室内と室外に肩までの深さの大きなプールがあり、地下にはサウナ、ハマム(スチームサウナ)、2階にはエステやマッサージなどを受けることができるサロンが併設されています。
また、プールの横にはカフェがあるので、ちょっと疲れたら、ドリンクや軽食をいただきながらまた温泉に入ることができます。外の温泉やテラスからは、美しい山々を望むことができてリラックス効果も高まります。このカフェがある雰囲気は、日本に古くからある温泉にはあまりないかもしれません。
温泉に入った印象
日本の温泉のような濁った温泉を想像すると、普通のお湯や温水プールに近い感じがします。温度は体温と同じくらいで、長く入ることはできますが外の気温により、寒く感じる温度です。
また、このエクスレバンの温泉地では、アクアジムと呼ばれる水中エアロビクスが行われており、時間になると元気なフランス人インストラクターが登場し、30分間エクササイズが行われます。
スイスの湖近くの静かな温泉地、イヴェルドン
美しい山々を眺めながらの温泉
今回は、スイスにある温泉地も訪れました。日本ではなかなかスイスで温泉というイメージがわかない人も多いかもしれませんが、スイスらしい機能的な設備と美しい自然を眺めながらの温泉は、日本とはまた違った風情があります。
今回、訪れたイヴェルドン-レ-バンはジュネーヴからは2時間ほど、ローザンヌから1時間未満の距離にあります。湖の近くに旧市街があり、イタリア料理やイタリア語を話す人が多く見られました。
スイスは複数言語が話されている国で、このイヴェルドンはフランス語圏に位置しているのですが、イタリア語圏のスイス人も多く住むのかもしれません。
スイスの温泉併設のホテルは意外に豪華
イヴェルドンの温泉地には、敷地内にホテルも併設されており今回は宿泊も体験しました。比較的、グレードの高いホテルで、ホテルの部屋で水着に着替えてバスローブを羽織りそのまま温泉へ向かうことができます。ラグジュアリーな雰囲気の漂う会場でたっぷりと朝食をいただくことができ、ゆっくりと保養するための良い環境が整っています。
また、敷地からは出る必要がありますが、隣には病院もあります。物価の高いスイスですが、宿泊料金は季節や予約方法により変動がありますが、2万円〜3万円程度で温泉と朝食込みです。やはり、日本と比較して感じるのは敷地の広さです。日本でも名湯は数多くありますが、いろいろな旅館が集まっていてそれぞれの規模に差がある印象です。
スイス・イヴェルドンの温泉
大規模な施設となっており、室内プールの他、外に2か所、専門の療養用の温泉プールが用意されています。2階はエステなどを受けられるサロン、フィットネスルームがあり、3階はサウナやスチームサウナ、山々を眺められる露天のお風呂、日本式風呂が用意されています。
この日本式風呂ですが、温度が42度に設定されており、日本人が心地よいと感じる温度で、おしゃべりも基本は禁止となっているこだわりようです。日本が静かで落ち着いた禅のイメージ、というところからも来ているのかもしれません。
スイスではサウナは裸で入る、というところも多いと聞きますがこちらのサウナは水着着用のままでもokのようです。イヴェルドンの温泉もフランス同様、透明に近い温泉で、源泉はやや硫黄のような香りがするものの日本人には温水プールのように感じられる温度と水質です。
スイスやフランスの温泉と日本の違い
美容関連のサロンやスパは日本の温泉や宿泊施設でも少しずつ増えてきていますが、ヨーロッパでは医療の一環として温泉を利用できるというところが大きく違っています。病院が近くにあって連携があり、処方箋を持っている人を見かけるところも日本ではあまり見ない光景です。
それでも、日本の温泉はクオリティーが高く、道後温泉などに見られるような日本ならではの雰囲気を携えているところが多く、ヨーロッパの温泉と比較することで日本の温泉の良さも感じました。温泉でゆったり癒しの時間はいかがでしょうか?
- Mirai(みらい)
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ライター。
日本の鍼灸師、フランスのエステティシャン国家資格取得、15年活動したのち、現在はフリーで美容鍼灸やエステの施術、フランス語翻訳、ライター、後進の育成など幅広く活躍中。
趣味は旅行、近日中に40ヶ国訪問達成が目標。