公開日:2017/05/20 

妊活は何歳からのスタートが良い?不妊治療専門医に聞きました

“何歳で子どもを産むか”というのは、女性にとって大切なテーマのひとつ。仕事のやりがい、将来の夢、または経済的理由などで、「いつか子どもは欲しいけれど、今はまだ考えられない…」という方は多いのでは。また、同年代の女友だちから妊活の話を聞き、30代のうちに自分も産みたいという想いが強まった方がいるかもしれませんね。

将来子どもが欲しいと思うなら“何歳までに何をすべき?” 女性のライフプランニングについて、不妊治療専門医の船曳美也子先生からアドバイスをもらいました。

<教えてくれたドクター> 医療法人オーク会 産婦人科専門医 船曳美也子先生

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<プロフィール> 産婦人科専門医、生殖医療専門医、認定産業医。1983年 神戸大学文学部(心理学専攻)卒業、1991年 兵庫医科大学卒業。現在は、大阪・東京で不妊治療を専門とする医療法人オーク会に勤務。自らも2度目の結婚で妊娠、43歳で出産という経験を持つ。2013年10月、「婚活」「妊活」など女性の人生の描き方を提案する著書「女性の人生ゲームで勝つ方法」(主婦の友社)を上梓。 医療法人オーク会 HP: http://www.oakclinic-group.com/

妊活・不妊治療は何歳から意識すべき?

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●クリニックへ「妊活」や「不妊治療」の相談に来るのは、何歳くらいの女性が多いですか?また、どんな治療が受けられるのでしょうか。

「妊活を“子どもをもつための活動”と定義すると、将来子どもがほしい、今子どもがほしい、子どもがほしいが妊娠しない、の3つの場合があります。

① 将来子どもがほしい 将来、妊娠できる可能性を調べます。来院される年代の幅は広く、30代を中心に、20代後半から40代までいらっしゃいます。現在のからだの状態を、ホルモン検査や、超音波、AMH(卵巣予備力検査)採血などで調べます。

② 今子どもがほしい パートナーがいて子どもをつくりたい、という場合は2層あります。20代~30代前半で、挙児希望の期間は短いが、月経不順がありタイミングがつかめない方。または、40才前後で、挙児希望の期間は短いがご自身の年齢をかんがみて来院される方、です。

治療は、一般的な不妊治療に準じて、基礎体温測定、月3回の超音波測定で排卵を確認、ホルモン採血、卵管閉塞がないかを見る卵管造影、性交渉後精子がいるかを調べるフーナーテスト、精液検査などを提案します。

③ 子どもがほしいが妊娠しない 自己タイミングをされたあと、1年程度で来院される方が多いです。

自己タイミングは、体の調子で排卵頃の数日間タイミングをもつ方もいれば、尿のLH(排卵前にでるホルモン)チェッカーを購入されている方もいます。一般的には基礎体温ですが、あくまで過去の記録から排卵日の目安を知るためのもので、体温の下がり方で排卵日を当てるものではありません。

また、排卵日2日前の性交渉が一番妊娠するという説がありますが、論文の読み間違えで、妊娠率は排卵日がよいのは自明です。ただ、基礎体温だけでは排卵日の推定は不正確。ですから、周期の目安から排卵日を予測し、その前後数日を頻回にタイミングをもてばよいのです。

さて、タイミングで妊娠しない場合、来院されたら検査は②と同じです。検査で何か原因があれば、その原因に対応した治療をします。

方法は、濃縮した精子を子宮内にいれる人工授精や、卵子もとりだして精子と確実にであわせ受精した胚を子宮にいれる体外受精です。精子が少ないときは卵子に精子をいれる顕微授精をする、全く精子がゼロの場合は、精巣から精子をとりだす精巣内精子採取術をします。」


 

●排卵日に避妊せず性交渉をしても妊娠しない場合は、何歳で「不妊治療」を意識した方がいいですか?

「アメリカでは、35歳までは1年、35歳以上は6か月での来院をすすめています。ちなみに、排卵日に性交渉したと仮定して、自然妊娠できる可能性は、健康的な30代は月20%、40才では5%以下、とされています。

妊娠に最適な年齢は20代で、30代よりだんだんと下がり、とくに35才以降顕著に低下します。」

“将来産む”ために今できること

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●30代で自然妊娠したいと思う人が、日ごろから心がけておきたいことはありますか?

「妊娠する力に影響するのが、喫煙、体重、年齢で、喫煙が閉経を早めるのは確実です。また、肥満(BMI=体重kg÷身長m÷身長m、が30以上)は流産の一要因になりますし、反対にやせすぎ(BMIが18.5未満)も無月経になります。健康に良い生活が卵子・精子にも良い生活です。

タバコをやめて、適正体重にし、あとはできるだけ、睡眠をとる、ストレスをなくす、緑黄色野菜をとる、軽い運動などを心がけるとよいでしょう。」


 

●子どもを早く欲しいと思っている人が、自分でできる「妊活」としてどのようなことがありますか?

「上記③『自己タイミング』でもお伝えしましたが、相手がいる場合は、基礎体温、体調をみる、尿LHチェッカーを試す、です。他に、葉酸は妊娠3か月前からの摂取をすすめられています。」

卵子凍結は何歳までにしておくべき?

●働く女性の間で「卵子凍結」が話題になっています。卵子を採取できる年齢にリミットはありますか?

「理想は30代前半までです。日本生殖医学会では40才未満を推奨していますが、当院では特に何才までというリミットは設けていません。確率は低くはなりますが、卵子がある限り妊娠の可能性はゼロではありませんし、妊娠力の個人差は約10才程度あり、非常に大きいのです。」


 

●凍結した卵子は最長で何年ほど保管が可能ですか?また、どんな費用がかかりますか?

「理論的には永久保管が可能です。ただ、使用する、つまり子宮に移植する年齢は45歳までをすすめられています。高齢出産のリスクが高くなるからです。

卵子凍結は、排卵直前の成熟卵子を採る必要があります。なので、月経から排卵までのうち約10日間、注射や超音波に頻回に来院する必要があります。採卵の日は仕事を最低半日休んでいただきます。1回の採卵で何個とれるかは個人差が大きいですが、10~15個くらいとれるのが最適と考えています。

費用は1回の採卵代、凍結代、凍結保管代がかかります。また、使用時は融解、顕微授精、胚移植代がかかります。採卵凍結代は、採卵法、採卵数、凍結期間により異なります。

当院の場合は、『卵子凍結セミナー(奇数月の第三土曜日3時~5時)』に来ていただくか、コーディネーターにメール(oak-cn@oakclinic-group.com)でお問い合わせください。」

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