公開日:2017/08/08 

日本の下着業界に革命を起こしたデザイナー鴨居羊子って?

「鴨居羊子」という名前を知っている人は、それほど多くはないかもしれません。しかし彼女は下着業界に、革新と進歩をもたらしました。その理念と技術は、現在の下着にも大きな影響を与えています。

今回は、この鴨居羊子の人生を振り返るとともに、彼女が残した下着へのこだわり、そして現在の「鴨居羊子ブランド」の展開を追いましょう。

鴨居羊子、という人

鴨居羊子は、1925年にこの世に生を受けました。「羊の子」と書く大変珍しい文字ですが、彼女の本名は「洋子」という表記の方です。

24歳のときに父を亡くし、同年に「新関西新聞社」に入社。新聞社での勤務経験は5年にわたって続けられますが、29歳のときに退社してしまいます。その後に彼女が選んだ仕事は、「下着をつくる」というものでした。

下着デザイナーとして

下着デザイナーに転向した彼女は、翌年には「チュニック制作室COCO」を設立します。その活躍は目覚ましく、制作室がつくられた同じ年には、すでに大阪そごうで「W.アンダーウェア展」を開くことになります。3年後には、「チュニカミュージカルショウ」を上演。

さらに、精力的に文筆業にも手を伸ばします。彼女は、大正から昭和、そして平成の3時代を生き抜きます。1991年に病気で亡くなりますが、彼女は常に時代の先駆者であり続けました。

鴨居羊子の人柄について

彼女は、当時としては奇抜なデザインのファッションを好み、そしてそれと同じように革新的な考えをもって仕事に取り組んでいきました。

髪の毛を染め上げ、旅行に出かけ、自由に生きる――――今では当たり前になったそれらの行動を、今よりもずっと窮屈だった時代に、鴨居羊子という人間はやってのけたのです。

彼女のプロデュースするショーも非常に奇抜でした。演劇とファッションショーの性格を併せもったそのショーは、一部には「下品だ」とまゆをひそめられ、そして一部には強烈な支持をもって受け入れられたのです。

鴨居羊子のつくってきた下着とは

鴨居羊子は、常に斬新で目新しい下着をつくってきました。下着が、まだ「実用性」のことだけを考えていた時代に彼女は生きていました。一般的な肌着などしかなく、そこには「おしゃれさ」「楽しさ」が入り込む余地がなかったのです。

しかし彼女は下着業界に旋風を巻き起こしました。多くの批判と多くの支持を集めた彼女の下着への考え方について見ていきましょう。

下着に「おしゃれさ」「楽しさ」を取り入れた

彼女のつくりだす下着は、今では当たり前となったものばかりです。透ける素材を使ったスリップ、妖艶なガーターベルト、花をちりばめた柄、たくさんの小物……。

「実用性」しかなかった時代、彼女は、下着に面白さと楽しみという価値を与えました。カラフルな下着は、当時「上品好み」であった東京という土地に、大きな波紋を生み出したのです。

「チュニック」に魅せられて

現在ではひとつのファッションアイテムとしての地位を確立した「チュニック」。この言葉時代は昔から知られていたものですが、鴨居羊子はその言葉を正しく日本に「輸入」した女性だといえるでしょう。

その愛らしい響きに魅せられた鴨居羊子は、「下着」という意味ももつ「チュニック」を積極的に用いるようになります。ただ単に「使うため」のものではなく、「遊ぶため」の下着。そういう用途で使われる下着を、鴨居羊子は、今から60年ほども前に打ち出したのでした。

現在の鴨居羊子ブランド

かつて、「前衛的」とまでいわれた鴨居羊子の下着。それは今も、形態を変えながらも、彼女の愛した「チュニック」という響きを冠して、打ち出され続けています。現在は下着だけにとどまらず、数多くの小物も打ち出されるようになりました。

彼女の死後、25年以上が経った今も、その精神性やデザインの良さは受け継がれています。

鴨居羊子のコレクション~ブラつきワンピ

鴨居羊子のコレクションは、今も販売されています。現在の最新作は、2017年の春夏コレクション。そこではさまざまなものが販売されていますが、なかなか面白いのが「カップ付きのワンピース」です。

友人たちと旅行に行ったときにお部屋でリラックスをしたい、でもノーブラもちょっと……というときに大活躍してくれるこのブラつきワンピは、1着持っておくととても便利なもの。柄のバリエーションもあり、見ているだけで楽しくなります。

鴨井羊子のコレクション~下着

「下着ブランド」として生を受けた鴨井羊子ブランドですから、最新作にももちろん「下着」があります。現在の下着は、「愛らしさ」「面白さ」だけではなく「着心地」にも重点が置かれているのがポイントです。

まるで付けていないかのような圧迫感のない下着が多数販売されています。素材もコットンを採用するなど、「着やすさ」に舵を切っている2017年の春夏ブランドは、むしむしする夏場を快適に過ごす手助けをしてくれます。

デザイン性は、鴨井羊子の理念の流れを受け継いだもの。ロイヤルレースでハートを描いた青い下着などは、エレガントさと同時に、奇抜でオリジナル色あふれる面白さをあなたに提供してくれることでしょう。

鴨居羊子の残したもの

現在とはまったく異なる価値観でつくられていた、かつての「下着」。

  • 鴨居羊子は、そこに、優れたデザイン性と奇抜さ、強さ、楽しさ、自由さをもって殴り込んでいった
  • 彼女は、優れたデザインと数多くの手法を残した
  • 彼女の理念に基づいてつくられた下着は、今も生き続けている

改めて、鴨井羊子に注目してみてはいかがでしょうか。

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