公開日:2017/05/26 

肺のチネイザンで硬い横隔膜をほぐして体調改善

皆さんは「寝ても疲れがとれない」、「昔より太りやすくなった」などの悩みを抱えていませんか?もしかしたらそれらの不調は、横隔膜が硬いことが原因かもしれません。横隔膜が硬いとどんなデメリットがあるのか、改善方法とあわせて探ってみましょう!

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横隔膜って何?硬くなるって知ってた?

横隔膜とは?どんな働きをしているの?

横隔膜は「膜(まく)」ではなく、呼吸を助ける「筋肉」の1種です。みぞおちの奥にドーム状についていて、息を吸う時は横隔膜が下がることで肺がふくらみ、空気を取り込みます。そして息を吐く時は横隔膜が上がることで肺がしぼみ、空気が自然と出ていきます。つまり横隔膜は、スムーズな呼吸をするために欠かすことのできない、重要な筋肉なのです。

他にも横隔膜は、上下することで内臓を適度にマッサージしてくれますし、血液を心臓に送るポンプのような役割もしています。横隔膜の健康を保つことは、内臓の健康を守ることにもつながるのです。

さらに注目したいのが、横隔膜と自律神経の関係性です。横隔膜の下には自律神経の集まりがあり、ゆっくりと深く呼吸をするほど、副交感神経が働いてリラックスできます。普段のストレスを緩和するためには、横隔膜を意識する必要があったんですね。

横隔膜が硬いとどうなる?

上記のように大切な役割のある横隔膜ですが、何らかの原因で硬くなってしまうことがあります。横隔膜が硬いとその動きが鈍くなり、呼吸や内臓の動きも上手くサポートできなってしまいます。

特に注意が必要なのが、就寝時の呼吸に与える影響です。就寝時の呼吸の約8割は、横隔膜が動いてコントロールしています。つまり横隔膜が硬くなって動きが鈍くなると、就寝時の呼吸が浅くなり、寝ても疲労が取れない状態になってしまうのです。

なお、横隔膜が硬くなると、他にも下記のような不調が身体に現れます。

  • 免疫力が低下して風邪を引きやすくなる
  • 自律神経が乱れてイライラしやすくなる
  • 代謝が低下して太りやすくなる
  • 肩甲骨周りが硬くなり、肩がこりやすくなる
  • お腹が縮んで背中が丸くなり、姿勢が悪くなる

横隔膜の硬さをチェックしてみよう!

横隔膜が硬いかどうかは、自分の手で直接触って確認することができます。チェック方法はとても簡単なので、横隔膜の現状を知るために、試しにやってみましょう。

  1. 姿勢を正して、肋骨の下に指を当てます。
  2. 息を吐きながら、指をゆっくりと斜め上に向かって押し込みます。(肋骨の下に差し込んでいくイメージで)

※この時に硬くて指が入っていかなかったり、痛みを感じたら、横隔膜が硬くなっている証拠です。

実際にやってみると、お腹が硬く、指がすんなりと入らないはずです。では、なぜ横隔膜が硬くなってしまうのか、考えられる原因はどこにあるのでしょうか。

横隔膜が硬くなる原因とは

原因その1. 呼吸が浅い

普段から呼吸が浅いと横隔膜が十分に使われないため、どんどん動きが鈍くなり、硬くなっていきます。そもそも横隔膜は、筋肉の1つです。「顔の筋肉を使わないと衰えていく」というメカニズムと同じように、横隔膜も使わないと衰えて硬くなってしまうのです。

「自分は呼吸をしっかりしているから大丈夫!」と思っている人も多いかもしれませんね。しかし胸だけを使う胸式呼吸しかしていない人は、横隔膜が衰えている可能性があります。胸式呼吸ではお腹を使わないため、横隔膜の上下運動が小さくなり、じゅうぶんに使えていない恐れがあるのです。

ちなみに、いびきが酷い人や眠りが浅い人は、呼吸も浅いと言われています。自分の睡眠の質が悪いと実感しているなら、横隔膜が硬くなっている可能性があるといえます。

原因その2. 姿勢が悪い

姿勢が悪いと息を吸い込みにくくなるため、呼吸が浅くなり、横隔膜が硬くなっていきます。特にNGな姿勢が「猫背」です。腹部を縮めて背中を丸めた姿勢は、肺に空気を取り込みにくく、横隔膜の動きを鈍らせてしまいます。デスクワークなどで猫背でいる時間が長い人ほど、横隔膜が硬い傾向にあります。

また、スマホを見る時の姿勢にも注意が必要です。スマホを覗き込むように見ている人は首が丸くなりますから、猫背と時と同じように胸や腹部を縮めています。すると呼吸が浅くなり、横隔膜も硬くなってしまうのです。できるだけ姿勢を良く保てるように工夫したり、意識することが必要ですね。

原因その3. ストレス・緊張

過剰なストレスや緊張にさらされると、横隔膜も硬くなって緊張した状態になります。そのストレスが一時的なもので上手くリラックスできる時間があるなら、それほど心配する必要はありません。

しかしストレスを受ける時間が長いと、それだけ横隔膜も硬くなる時間が長いため、柔軟性を失っていくことになります。仕事場でも家庭でも心が休まる時間がない…という人は、横隔膜がガチガチになっている危険性があるのです。

また、ストレスを感じると、筋肉の緊張を緩和させるために猫背になりやすいと言われています。ストレスが続けば、その分横隔膜が硬くなるのも当然だといえますね。

硬い横隔膜を柔らかくする方法

方法その1. 腹式呼吸

腹式呼吸を意識して行うことで、硬くなった横隔膜を柔らかくすることができます。腹式呼吸は立ったまま行ってもOKですが、以下のような方法で行うと、さらに効果的です。副交感神経が働いてリラックス効果も得られるので、就寝前などにぜひお試しください。

腹式呼吸の行い方

  1. 仰向けに寝て、腰の下に丸めた毛布やタオルを挟みます。
  2. 腰をそらした状態で、鼻からゆっくりと息を吸い込んで、お腹をふくらませます。
  3. 今度はゆっくりと息を吐きながら、お腹をへこませます。
  4. 吸って吐くを5回1セットとして、1日2~3セットほど行いましょう。

効果を上げるポイント

腹式呼吸をしている間は、丹田と呼ばれる部分(おへその約5センチ下辺り)を意識しましょう。また、息を吐く時は、吸う時の倍ほどの時間をかけると効果的です。横になれないときは、椅子などに座ってリラックスしながら行いましょう。

方法その2. 上体そらし

上体そらしとは、上半身を後ろにそらす動作のこと。腹部がグーッと伸びるので、硬く縮こまった横隔膜を柔らかくする効果が期待できます。腹式呼吸と同時に行うことで、インナーマッスルも鍛えられますよ。

上体そらしのやり方

  1. うつ伏せに寝ます。
  2. 両手を胸の横に置き、手で床を押して上半身をそらします。
  3. そのまま腹式呼吸をゆっくりと3回くり返しましょう。

効果を上げるポイント

お腹が伸びているのを意識しながら腹式呼吸をくり返しましょう。

方法その3. 肺のチネイザン

チネイザンとは、中国発祥の気候療法のことで、中国語の「chi(氣)」と「Nei Tsang(内臓)」が語源となっています。腹部に手で触れることで内臓に直接働きかけ、心身の滞りを整えることができる、という方法です。

そして横隔膜を柔らかくするには、肺のチネイザンが最適です。肺を意識しながら肋骨に手を当てることで、横隔膜の動きをより活発化させることができます。

なお、チネイザンをマスターしたい時は、専門の公認プラクティショナーにお願いしましょう。チネイザンをする際も、深い呼吸をくり返しながら行うことがポイントですよ。

横隔膜ケアで心身の不調を取り除こう

  • 横隔膜は私たちの呼吸、内臓、自律神経の働きをサポートしている。
  • 横隔膜が硬くなる原因は、浅い呼吸、猫背、ストレスなど。
  • 硬い横隔膜は腹式呼吸、上体そらし、肺のチネイザンで柔らかくなる。

普段あまり意識しない横隔膜ですが、実は私たちの心身の健康に深く関わっています。これからはスキンケアと同じように横隔膜のケアも行って、生き生きとした心と身体を作り上げていきましょう!

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