公開日:2017/05/26
筋膜リリースで肩こりが軽減する?自宅でできる簡単な方法を紹介
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慢性化した肩こりに、筋膜リリースというメソッドが有効だということを知っていますか?筋膜の癒着を解消することで、身体の柔軟性を取り戻すことができる方法です。
筋膜リリースの解説から、ストレッチの方法まで分かりやすく紹介します。
筋膜リリースで肩こりが解消できる?
『筋膜』という言葉を、聞きなれない方も多いのではないでしょうか。筋膜が固まってしまうと、身体の柔軟性が失われ、身体を動かしにくくなり、結果肩こりや首こりなど身体の痛みに悩まされる原因となります。
ここでは、筋膜についての知識と、筋膜をほぐす『筋膜リリース』とは、どのようなものなのか見ていきましょう。
そもそも筋膜とは?
『筋膜』とは、筋肉を包む膜組織の総称です。配置されている場所と役割によって、浅筋膜・深筋膜・筋外膜・筋周膜・筋内膜という5つの種類に分けられます。
深筋膜は、骨格をまとう筋肉を上からボディスーツのように包み、ずれないように固定しているものです。浅筋膜は脂肪層を含み、深筋膜の上から全身を包む役割を担っています。
筋外膜・筋周膜・筋内膜は、糸のような細かい筋繊維を外側から順に包んで、筋肉の形をつくりあげているのです。
筋膜リリースってどんなもの?
筋膜リリースとは、全身の筋肉を包んでいる筋膜の萎縮や癒着を引き剥がしたり、引き離したりすることで、元の状態に戻す運動を言います。
筋膜の一部が萎縮・癒着していると、他の筋膜もつられて引っ張られてしまい、身体のさまざまな場所に悪影響が出てしまうのです。
筋膜リリースには、いくつかの方法があります。筋膜ストレッチ、ロルフィング、ヨガなど、特別な道具と使わないものもあれば、筋膜リリースの効果を高める専用の道具も販売されており、近年注目を集めているのです。
筋膜リリースで肩こりを解消する方法
肩こりの根源は、筋肉を覆っている『筋膜にできたしわ』が原因かもしれません。筋膜のしわが、筋肉を収縮させるように引っ張り、コリを作ってしまうのです。
このしわを元に戻し、首や肩の凝りをほぐすためにの、筋膜リリースを紹介します。
ためしてガッテンで話題に!筋膜ストレッチ
首都大学東京の竹井仁教授が監修した『筋膜リリース体操』を4つ紹介します。左右対称に行ない、20~90秒姿勢をキープしましょう。
『斜め腕伸ばし』は、右腕を斜め下後方に伸ばし、右肩を左手で抑え、首を左に倒します。左耳を前に出しながら首を倒して20秒キープします。次に、鼻を左肩に近づけながら反対側にも20秒キープしましょう。
『平泳ぎ風筋膜リリース』は、背を伸ばし両手を前に伸ばしキープします。次に、両腕を開くように後ろに引き、この状態でも20秒ほどキープします。最後は、肩甲骨を意識しながら両手を上げてさらにキープしましょう。
『S字筋膜リリース』は、右手を後頭部、左手を背中に回し、肘を90度に保ちます。腕を反時計回りに回し、右足を前にクロスさせ、身体を左に倒しましょう。この状態で20秒キープします。
『バレリーナ風筋膜リリース』は右手を上へ、左手を後方の床に伸ばし、手のひらは後方に向けます。右足を出して身体を左側にひねりキープしましょう。
ああ!首と肩がツライ 肩こり根治マニュアル – NHK ガッテン!スティック型ローラーを使用する
スティック型の『フォームローラー』という器具を使った方法もあります。自分ひとりで、しかも短時間で筋膜リリースができるのが魅力です。
フォームローラーを使うと、一時的な身体の柔軟性と、筋肉痛の軽減効果が期待できます。
より体を動かしやすくなり、筋肉の可動域が広がるので、準備運動としてフォームローラーの筋膜リリースを取り入れると、運動や筋トレの効果をより高められるでしょう。
フォームローラーの基本の使い方は、大きく2つに分けられます。
1つは、筋繊維の方向に沿って前後に動かす方法、もう1つは、筋繊維を横切るように、左右に動かす方法です。肩や首などの小さな筋膜リリースの場合は、スティック型ローラーに使い分けるのが効果的です。
呼吸を止めずにゆっくりと行ない、角度や場所を変えながら、自分がどこに痛みを感じるのか、どの筋肉が固まっているのか感じながら使いましょう。
テニスボールは身近な筋膜リリースグッズ
専用の道具がなくても、テニスボールなどの身近なものを使うことで筋膜リリースをすることも可能です。筋膜リリースは、筋肉と筋膜に圧力をかけて緩めさせる方法なので、圧力をかけられるなら、テニスボールでも代用できるのです。
床にマットを敷いて、右半身を下にして横になり、胴体側面のみぞおち当たりにテニスボールをセットし、上下に3~4cmゴロゴロと5回転がすエクササイズは、上半身の両脇にある『前鋸筋』に刺激を与える筋膜リリースです。
また、テニスボールを床に置き、右鎖骨~脇にかけて斜めに当たるように上からうつぶせに寝て、右腕をまっすぐ上方に伸ばし、雑巾がけをするように右手を左右に5往復すると、胸の筋肉の筋膜リリースができます。
セルフケアが無理なら、筋膜リリース注射
セルフケアがなかなか効かない頑固な肩こりには、筋膜リリース注射で筋膜の癒着をはがす治療方法もあります。
超音波エコーで筋膜・筋肉の状態を確認し、とくに筋肉の外側を覆っている外筋膜の癒着部分に、生理食塩水を注入するという方法です。
即効性があるうえ、薬ではなく生理食塩水なので副作用もありません。注射後もすぐに、普段通りの生活が可能な点が魅力です。個人差はあるものの、1回の注射で大体2~3カ月は効果が持続すると言われています。
筋膜リリースは肩こり以外にも効果があるの?
筋膜リリースは、ほぐす筋膜の場所によってさまざまな効果があります。筋膜の癒着で引っ張られることで、バランスを崩していた姿勢を正すこともでき、柔軟で疲れにくい体を作ることができるのです。
姿勢が整い、疲れにくい体を作る
姿勢が悪くなっていると、疲れやすい体質になってしまいます。人間の姿勢は利き手やバッグの持ち方、寝るときの方向など、色々な理由で少しずつバランスを崩してしまっています。
筋膜リリースにより姿勢を良くすることで、疲れにくい体質にするのはもちろん、老化防止や美容にもつながるのです。
腰痛予防も期待できる
腰痛の原因となっている箇所の筋膜リリースを行なえば、腰痛予防も期待ができます。腰痛の改善のためには、筋膜がつながっているお尻やふくらはぎを、順にほぐしていく必要があります。
まず、足裏にテニスボールなどをはさみ、ころころと体重をかけほぐし、足裏の筋膜リリースを行ないましょう
次に、ふくらはぎ・太もも・お尻の順に、フォームローラーでほぐしていけば、腰痛予防の筋膜リリースになります。
筋膜リリースでの肩こり解消で注意したいこと
筋膜リリースには注意点があり、誤った方法で行った場合や個人の体質によっては、身体を痛めてしまう原因にもなり得ます。
こんな人はやらないほうがいいかも?
骨密度が低く、骨が脆くなっている骨粗しょう症の人や、高血圧の人、抗凝固薬を服用している人は、筋膜リリースが体に思わぬ負荷をかける可能性があります。実践前に必ず医師に相談しましょう。
じっくりゆっくり、無理をせず
筋膜リリースは、最初もみ返しのような痛みを感じることがあります。痛みがひどくなるようであれば、筋膜リリースのペースを落とし、無理をしないように様子を見ましょう。
筋膜リリースで肩こりも姿勢も改善させよう!
筋膜リリースをすることにより、癒着してしまった筋膜が正常に戻り、肩こりや首の凝りを改善できます。癒着していた筋膜に引っ張られていた筋肉も元の位置に戻り、姿勢の改善にも役立てられるのです。
筋膜リリースは、本来の柔軟な身体を取り戻すための、有効なメソッドであるといえるでしょう。