公開日:2017/05/26 

髪の毛に感染する水虫があるって本当?脱毛症にも似た症状!

髪の毛に感染する水虫があることは、一般的にはあまり知られていないようです。認知度の高い足の水虫と認知度の低い髪の毛が感染する水虫や手にできる水虫に相違点はあるのでしょうか。それらの特徴および、適切な対処法などを知りましょう。

髪の毛が感染する水虫とはどんなもの?

水虫の基礎知識を身につけよう(1)

一般的に知られている足の水虫を起こす原因はカビの1種、白癬菌だとされ、足が白癬菌に感染しカビが繁殖することで水虫が発症するといわれています。水虫は、強いかゆみとともに、赤みや水ぶくれなどが生じときには、ひび割れを起こすこともあるようです。白癬菌自体は、珍しいものではなく人間の体のいたるところに生息しているカビ(真菌)の1種です。

白癬菌は人間の角質層に存在しているケラチンという物質を大変好むとされ、1度角質層に住み着くとなかなか死滅しないといわれています。しかし、人間の肌はターンオーバーによって、自然に角質層がアカとなってはがれ落ちるともいわれています。そのときに白癬菌も一緒にはがれ落ちるとされ、角質層からはがれ落ちた白癬菌は、約数週間で死滅するといわれています。

水虫の基礎知識を身につけよう(2)

日本の気候は高温多湿です。そのため、カビが発生しやすく住みやすいといえるようです。カビ、白癬菌による感染症の中でも特に多いのが水虫であることから、白癬菌は水虫菌とも呼ばれているようです。白癬菌は渇いた肌に付着したとしても、自然に落ちてしまうこともあり、洗い流せば感染することはないとされています。

しかし、白癬菌はカビの1種ですから、高温多湿な場所を好みます。湿度が70%、温度が15℃以上になると増殖力が強まるとされ、角質層の奥へと侵入して、さらに増えるとさまざまな症状を現すといわれています。特に、足に繁殖することが多いのは靴の中の湿度が95%にも及ぶためだとされているようです。

白癬菌の種類

皮膚科を初めて受診する患者さんの中で、カビが原因の疾患は約12%とされ、白癬菌の保有者はそのうちの9割近くを占めるといわれています。加えて、水虫の原因とされている白癬菌の種類も大変数が多いといわれているようです。

国内では人間に感染する白癬菌として、10種類ほどが知られています。白癬菌は人間のほかにも動物に感染するのですが、その数は動物と人間に感染するものを合わせると40種類以上にも上るとされています。

特に、「ミクロスポルム・カニス」という名のカビはイヌ小胞子菌とも呼ばれ、動物から人間に感染する場合もあるといわれています。猫や犬などのペットを飼っている方は注意が必要だともいわれています。

髪の毛の感染症について知ろう!

髪の毛が感染する水虫の名前は?

皮膚感染症の1つである水虫に悩まされている方は大変多いようです。水虫の主な感染源はカビの1種、白癬菌だということはわかりました。白癬菌の種類は1つではなく、10種類にも上ることがわかってきているようです。白癬菌による感染症の中で特に多いのが足に現れる足白癬、一般的に水虫と呼ばれているものだとされています。

しかし、水虫は足にできるものだけではなく、手にもできることがあるようです。手は足に比べると発症は少ない水虫ですが、手よりもごくまれに発症するのが頭に感染する水虫だといわれています。

この水虫は「しらくも」と呼ばれ、髪の毛に水虫の原因となる白癬菌が感染した状態を指すものだとされています。「しらくも」または、「頭部白癬」と呼ばれることもあるようです。

白癬菌による新しい「しらくも」とは?

一般的には、白癬菌が足に感染すると水虫、体に感染するとタムシ、髪の毛に感染すると「しらくも」と呼ばれるとされています。その中の「しらくも」は戦後ほとんど見られなくなったとされていました。ところが、外国から持ち込まれた新しい白癬菌、トリコフィトン・トンズランスによる「しらくも・タムシ」が、日本各地で見つかったのです。

この新しい白癬菌は頭と体に寄生しやすく、毛穴の中に入り込んで人間と共生するとされています。症状が軽いため見た目には症状がほとんどないケースも多く、単なるかぶれや擦り傷として見逃されてしまうことも少なくないそう。また、「しらくも・タムシ」は2001年以降、学生格闘技部員の集団発生が報告され問題になったようです。

「しらくも・タムシ」の注意点

トリコフィトン・トンズランスはヨーロッパや南北アメリカでの「しらくも」の主な原因菌とされ、日本に存在している菌株と違うことは判明しているとされています。

「しらくも・タムシ」はスポーツの国際交流により日本に入って来た輸入真菌症といえるようです。この「しらくも・タムシ」は他の白癬菌と違い、感染力が強く角質層への進入速度も速いことが実証されており、大変治りにくいされています。

欧米諸国のような「しらくも・タムシ」感染の蔓延を防ぐためにも、早期発見と予防が大変に重要なのだそう。ご家族の中に格闘技の選手がいる場合には、学校での集団検診と共に、いつもと違う皮疹などを見つけたら皮膚科のある医療機関を受診することをおすすめします。

「しらくも」の症状と対処法およびその予防

髪の毛の水虫「しらくも」の症状とは?

白癬菌が髪の毛に感染した「しらくも」の最も顕著な症状は、脱毛症状だとされています。髪の毛が楕円形に抜け、抜けた肌表面にピンク色の細かいフケ状で、ウロコに似た肌のかさつき、鱗屑(りんせつ)が見られるとされます。

また、頭部の一部分の髪の毛が薄くなり、脱毛斑ができることもあるとされています。脱毛斑ができた部分の毛は抜けやすく折れやすいとされ、毛の根本が折れると黒い点状に見えるのが特徴だといわれています。

自覚症状はほとんどないとされ症状も軽く、かゆみもないため放置されることも少なくないといわれています。「しらくも」の症状が円形脱毛症や脂漏性皮膚炎、フケ症とよく似ているためこれらの皮膚疾患と間違われることもあるようです。

髪の毛の水虫「しらくも」の対処法とは?

「しらくも」の診察においては、脂漏性皮膚炎やフケ症と間違えた場合、ステロイドの外用剤を誤用することで、症状が悪化するおそれがあるため、正確な診断が必要とされます。そのため、頭部の診察と同時に顕微鏡を使い、頭皮から採取したフケ状の細かい鱗屑や髪の毛の白癬菌の有無を調べるとされています。

原則的には、抗真菌薬のテルビナフィンやイトラコナゾールを1ヶ月から2ヶ月の間、服用を続けるとされているようです。小児の場合では、抗真菌薬のグリセオフルビンを6週間から8週の間、服用するとされています。

治療中は、仕事や学校を休む必要はないとされていますが、症状が治まるまでは、他の方に感染しないように、頭皮に抗真菌薬のクリームを塗布するとされています。

髪の毛の水虫「しらくも」の予防策

髪の毛の水虫「しらくも」は、外部からの白癬菌に感染し、白癬菌が頭部に拡がることで発症するとされています。洗髪をこまめにすることを心がけ、くしやタオル、帽子などの感染源となるものの貸し借りは避けましょう。

白癬菌は動物にも感染するとされ、ペットから感染する可能性もあるようです。ペットの猫や犬に白癬菌が感染しているのであれば、ペットの感染症も治しておきましょう。

柔道などの格闘技選手の予防方法としては、抗真菌剤が含まれたシャンプーの使用や練習後のシャワーを励行することが推奨されています。また、怪しい皮疹を見つけるなどで皮膚科を受診する際には、医師に対して、ご家族に格闘技選手がいるということを明示するように心がけましょう。

根気が必要な白癬菌、水虫の治療

  • 水虫の基礎知識
  • 白癬菌と水虫の関係
  • 髪の毛の水虫「しらくも」基礎情報
  • 髪の毛の水虫「しらくも」の症状と対策

水虫は症状が治まったように見えても、一時的に菌の活動が緩やかになっただけという場合もあるようです。自己判断で治療をやめると、再発の要因にもなりかねないため、医師の指示に従い根気よく治療を続けることが大切だとされています。

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