公開日:2017/06/26
冷え性改善におすすめ!コメ食はじめませんか
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現代女性の多くが悩まされている「冷え性」。夏の足音が聞こえはじめても、からだの冷えがおさまらない。顔は火照っているけれど末端だけ冷える。そのような声をよく耳にします。オフィスや電車の冷房の効き過ぎによる冷えの方もいれば、そもそもひどい冷え性体質の方も。
冷え性は、気温の高さに関係なく、手足や体全体に冷えを感じてつらい状態です。そのため、夏だからといって冷え性がなくなるわけではないのです。冷えはさまざな病気の元となると考えられており、健康のためにもなんとかして和らげたい症状です。
今回は、私の専門である「薬膳」の観点から、夏の冷え対策をお伝えします。薬膳は、食事で健康をつくるという考え方です。食べ物には、体を温めたり冷やしたり、解毒などのさまざまな効果があります。これらを組み合わせて、目的に合った食事をつくります。季節や体の状態に合わせて食材を選ぶことで、薬膳を生活に取り入れることができます。
目次
夏冷えを引き起こす7つの原因と対策
夏の冷えは、7つのタイプに分けることができます。原因となるのは、血液の巡りがうまくいっていないことや、水分が体にたまってしまっていること、生活の中で知らずに体を冷やしてしまっていることなどがあります。それぞれのタイプの対策として、薬膳の視点から見たオススメの食材も紹介します。自分がどのタイプに当てはまるか、チェックしてみてください。
温めパワー不足(胃腸虚弱)タイプ
胃腸が弱っていることで消化吸収力が低下し、温めるエネルギーを作れないタイプです。まずは胃腸の調子を整えることから始めましょう。食べ過ぎや飲み過ぎに注意して、肉や魚だけでなく野菜をしっかりととることが大切です。あっさりとした味付けで、あわてずによくかんで食べるとよいですね。
温めパワー不足(虚弱体質)タイプ
生まれつきの虚弱体質や慢性病によって、温める力が不足しているタイプです。疲れをためないようにして、夏場でもバスタブにつかるようにしましょう。
血行不良(血不足)タイプ
血液量の不足から血行不良となり、熱を運べないタイプです。目や脳の酷使も原因に。薬膳的に「血」を補うとされる黒い食材(黒ごま・黒豆など)や赤い食材(赤身の肉や魚・にんじんなど)を。
血行不良(ドロドロ)タイプ
血液の質が低下して血行不良となり、熱を運べないタイプです。ストレッチなどの軽い運動とともに、玉ねぎ、生姜、黒酢、にんにく、青魚など、血の巡りをよくするとされる食材を食べましょう。
水たまり冷えタイプ
体内の水分の巡りが悪く、余分な水がたまって冷えてしまうタイプ。主に下半身が冷えます。はとむぎ、小豆、落花生、高菜、とうもろこしなど水分代謝をあげるとされる食材を食べましょう。
ストレス冷えタイプ
ストレスから自律神経が乱れ、体温調節や血の巡りに不調が見られるタイプ。手足など末端が冷えやすいです。リラックスを心がけ、大葉・セロリ・ネーブルなど香りのよいものを食べましょう。
冷え生活タイプ
寒い場所、冷える服装、アイスクリームなどからだが冷える食べ物の多食など、ライフスタイルが原因で冷えているタイプです。生活習慣を見直すことで改善できるでしょう。
「どのタイプかよくわからない」「複数のタイプに当てはまるので対策がたいへんそう」そのような人もいることでしょう。でも大丈夫です。これらの夏冷え7タイプの全ての人に効果的と考えられる食材があります。
すべての夏冷えタイプに食べてほしい!冷えないからだをつくるベース食材「お米」
あなたはお米を食べていますか?
夏場はついつい麺類を食べがちですね。調理も手軽ですし、食欲が無い時もするすると食べられます。しかし、しかしです。薬膳の観点からみると、麺類の原料である「小麦」にはからだを温める力が備わっておらず、むしろ少し冷やす食材だと考えられているのです。冷えがなければ何の問題もないのですが。
冷え性さんにとって、おすすめの主食は小麦系でなく「お米」。「うるち米(白米)」には、胃腸を健康に保ち、パワーを与える働きがあるといわれています。「もち米」についてはさらにからだを温める働きも加わります。
大きな病気ではないのに深刻な冷えで悩まれている場合は、試しに、もち米を3分の1程度ブレンドしてごはんを炊いてみてはいかがでしょうか。炊き方は通常の炊飯方法と同じでOKです。
夏でも食が進む、お米レシピあれこれ
「夏はお米が食べにくい」という方もチャレンジできるよう、食べ方を工夫したレシピを用意してみました。食べやすい味付けや、するすると喉に入っていく食感、さわやかな彩りで、食欲がなくても食べられるように。
米はホカホカに炊いたご飯で食べなければならないというのは思い込みで、冷たくしたり、甘くしたりもできるのです。どれも簡単なレシピなので、ぜひ試してみてくださいね。
小さな焼きおにぎりにして
前日の残りごはんを小さい白むすびにして冷蔵庫に保管しておき、朝ごはんの時に、お醤油やお味噌を塗ってオーブントースターで焼きおにぎりにしてみては如何でしょう? 食欲の落ちがちな夏の朝でも、香ばしい香りによって食欲中枢を目覚めさせてくれます。
具だくさんのおかゆに
おかゆというと病人食のようですが、中華粥のように、干し貝柱など、しっかりとだしの効いたごちそうおかゆならば、暑い夏でも食が進むのではないでしょうか。梅干しだけでなく、野菜の浅漬けや温泉たまご、小魚の佃煮、蒸し鶏など作り置きトッピングを複数用意しておくと、食べる楽しみも増してくるでしょう。
さっぱりと、ライスサラダで
炊いたごはんをさっと水洗いして、ダイス状にカットしたトマト、きゅうり、コーン、ハム又はツナ、米酢、塩こしょう、少しのエクストラヴァージンオリーブオイルで和えると、さっぱりとしたライスサラダになります。たまには趣向を変えたサラダはいかがでしょう。
お米を発酵させた米麹甘酒で
それでもお米が喉を通らないという方は、米麹でつくった甘酒は如何でしょう? 酒粕で作った甘酒よりも格段に飲みやすく、昨今の発酵食ブームによって市販品も多く出回っています。
60℃から65℃程度に保温出来るポットや保温機能がある炊飯器があれば、炊いたごはんと米麹と水を入れて1晩置くだけで簡単に自家製甘酒を作ることも可能。そのまま飲んでも、フルーツと一緒にスムージーにしてもおいしくいただけます。
冷え性のみなさん、コメを食べましょう!
暑い夏でさえ、冷え性に悩む女性は少なくありません。薬膳的に見ると夏冷えのタイプは7つ。それぞれに対処法がありますが、すべてのタイプにおすすめしたいのは主食を「お米」にすることです。麺類からお米に切り替えるだけ、お米が喉を通らない時は米麹甘酒でも可!がんばり過ぎず出来る範囲でコメ食をお試しくださいね。
- タナカ トウコ(たなか とうこ)
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約16年の広告会社勤務を経てフリーランスに。“食”を軸にしてあらゆるコトを請け負う。
自身の経験から食と心とからだのメカニズムに興味を持ち、野菜や東洋医学の世界を探求。
“食とライフスタイル”“QOL(Quality of Life)”について、時にはマジメに時には脱力気味に考えている。モットーは「かわいく、たのしく、おいしく、ヘルシー」。
保有資格は、野菜ソムリエプロ、ベジフルビューティーアドバイザー、漢方カウンセラー、養生薬膳アドバイザー等。著作に「毎日おいしいトマトレシピ」「旬野菜のちから−薬膳の知恵から−」等がある。