公開日:2017/05/16 

勘違いしないで!PMSの症状を知ってうつ病との違いを理解する

PMSという言葉を聞いたことがありますか。女性特有の症状で、正式名称は「月経前症候群」といいます。PMSの症状はうつ病と似ているのが特徴ですが、このPMSとうつ病を勘違いすると大変なことになるので注意が必要です。PMSの症状とうつ病についてまとめました。

PMS、それは「月経前症候群」のこと

生理前に1週間前後続く不調がPMS

生理が近づいてくると、やたらと眠くなったり甘いものが無償に食べたくなる、ということはありませんか。時には下腹部が痛い、頭痛やむくみなど、身体の不調を自覚した経験がある方もいらっしゃるかもしれません。

これらは、もしかしたらPMSの症状かもしれません。PMSとは「Premenstrual Syndrome」の略で、「月経前症候群」または「生理前症候群」と呼ばれています。これらは、生理が始まる前に起こる、身体と心の不調が生じる症状のことをいいます。

一般的にこのPMSは1週間くらい続きます。中には生理が始まる直前に症状を自覚する女性や、逆に2週間くらい不調を訴える人もいて、期間にはかなり個人差があります。なんと女性の8割近くに何らかの症状の訴えがあると言われています。

PMS発症のメカニズムとは?

女性にとってはあまり歓迎されないPMS。一体なぜこんな症状が起こるのでしょうか。一般的に女性は、排卵から生理が始まるまでの黄体期と呼ばれる期間中に「プロゲステロン」と「エストロゲン」と呼ばれるホルモンが分泌されています。

PMSの出現する時期は、エストロゲンが減少し、プロゲステロンの分泌が優位になる時期ですので、PMSの発症の原因のひとつはこうしたホルモンの変動によるものではと考えられています。しかし、残念ながらまだハッキリした原因は解明されていません。

またPMSが発症する年齢も、10代後半から40代前半までと幅広いのが特徴です。更年期が始まる40代後半の女性がPMSを発症することもありますがその場合、ホルモンの関係で症状が長引くこともあります。

PMSの症状例、その数なんと数百種類!

現在、PMSの症状として挙げられているものには、数百もの種類が確認されています。

産婦人科診療ガイドライン・婦人科外来編2011によると、PMSの不調の中で最も多い症状が「イライラする」、身体的不調で多いのが「乳房が張る」という症状であるとされています。

そのほかに多い症状としては、「のぼせ」「腰痛」「下腹通」「頭が重い」「頭痛」「肌荒れ」「手足のむくみ」「不眠」「過食」「のどの渇き」「体重が増える」「集中力が低下する」「怒りっぽくなる」などがあります。

生理前の不調で、この中に思い当たる症状があれば、それはPMSだと考えていいでしょう。

ああ勘違い!PMSとうつ病の違い徹底解説

うつ病とPMSの大きな違いは症状が続く期間

生理前に感じていた心と体の不快な症状が生理後もしばらく続いている場合は注意が必要です。なぜなら、それはPMSではなく「うつ病」かもしれないからです。PMSとうつ病はその症状の一部に共通点があるものの、実は全く違うものです。

PMSは正確には病気ではありません。ところがうつ病は、治療が必要なれっきとした病気なのです。PMSとうつ病には、実は大きな違いがあります。

PMSの症状は生理前に始まり、人によってはかなり辛い症状があるものの、生理が終わる頃にはすっかり快方に向かいます。あんなに体調不良だったことがウソのように、元気になっていることが多いのです。ここがPMSとうつ病の大きな違いです。

うつ病とPMSの見分け方は夜寝られるかどうか

うつ病は、イライラや身体の不調が長引くのが特徴です。また、PMSとうつ病の違いを知る目安としては「夜寝られるかどうか」で判断がつきます。なぜなら、うつ病は睡眠障害を伴うことが多いからです。

うつ病が発症する背景には、本人に強いストレスが長期間かかっているなど理由が比較的はっきりしていることも挙げられます。もともとPMSの症状があった女性が、仕事や家庭の悩みなどのストレスにさらされ続けた結果、うつ病を発症することもあります。

うつ病の主な初期症状として「憂鬱な気分が続く」「不安感が強い」「元気がなくなる」「涙もろくなる」「疲労が濃い」「寝られない」「眠りが浅い」などが挙げられます。うつ病は症状が悪化すると自殺願望が現れるなど、深刻な事態に陥るのは周知の事実です。

PMSなのかうつ病なのかは見極めが重要!

PMSだと思っていたら実はうつ病だった、反対にうつ病だと思っていたら実はPMSだった。実はこれ「勘違いだった」と簡単に済まされるものではないのです。

PMSの知識がないままうつ病と勘違いをして、精神科や診療内科を受診したらどうなるでしょうか。最悪の場合、本来なら飲む必要のない薬を処方されて服用してしまうかもしれません。

またその逆のケースとして、本当はうつ病で治療が必要なのにPMSだと思い込みその結果、治療が遅れてうつ病が悪化してしまった、という事も考えられます。

PMSなのかうつ病なのかで迷った時は、決して自己診断をせず、専門医を受診しましょう。婦人科の受診がおすすめですが、それ以外でもPMSの症状が相談できる病院も出てきています。

PMSはストレスをためないこと!対処法紹介

PMSは特に30代女性に多い傾向がある

PMSの症状が出やすい人とはズバリ、ストレスを溜めこみやすい人です。また年齢・性別でいうと30代の女性に多いことが分かっています。

なぜ30代女性に多いかというと、30代女性は結婚や子育てなどの環境の変化が激しく、その分ストレスも大きいからです。仕事面でも責任がより重くなる時期に突入しており、その影響も考えられます。

また出産後に、それまでPMSに縁がなかった女性にも症状が出るケースがあります。慣れない育児で疲れきってしまい、その結果ストレスがたまりPMSが発症するのです。このように環境の変化が大きい30代女性は、PMSの症状がより出やすいので気をつける必要があります。

PMSの対処法は気分転換がおすすめ

PMSの症状が出やすい生理前は、セロトニンという精神を安定させる物質が低下する傾向があります。このセロトニンを増やすためには、気分転換を図ることがおすすめです。そのためにも、大好きな趣味の時間を思いっきり楽しんでみてはいかがでしょうか。

ウォーキングやプールで歩くなどの軽い運動もおすすめです。あまり激しいスポーツをすると疲労がたまり、逆効果になってしまうことがあるので注意が必要です。映画などを見て思い切り笑ってみたり、泣いてみるなど感情を表に出すこともいいでしょう。

精神を安定させる効果が期待できるカモミールなどのハーブティーを飲んでリラックスをし、また好きな香りのアロマを楽しむこともおすすめです。

生活リズムを整えて食生活も充実させる

PMSを悪化させてしまうのはストレスだけではありません。不規則な生活や偏った食生活も原因のひとつですPMSを改善するためにも、カルシウムやビタミン、ミネラルの豊富な食品をバランスよく摂るように心掛けましょう。

また、食事もなるべく規則正しい時間に食べるようにしてください。さらに、食べる順番も工夫して、野菜から食べるようにすれば血糖値が急激に上がるのを抑えられます。イライラが減るだけでなく、健康維持のためにもぜひ実行しましょう。

さらに、PMSの症状が強く出ている時はカフェインやアルコール飲料はなるべく控えるとよいでしょう。生活リズムを整え食生活も充実させ安静にしていても症状の改善が見られない場合、それは治療が必要なケースかもしれません。速やかに専門医を受診してください。

PMSとうつ病の勘違いはNG!見極めが重要

  • PMSとは月経前症候群のこと
  • PMSは心と体の不調が生理の始まる前に1週間くらい続く
  • うつ病とPMSの大きな違いは症状が続く期間
  • PMSは生理が終わると症状が治まる
  • PMSなのかうつ病なのかは見極めが必要
  • PMSは特に30代女性に多い傾向がある

以上の点に注意して、PMSとうつの症状をはっきりと見極めましょう。

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